神経再生治療について

近年、幹細胞を用いた再生治療に関しての認知が少しずつ拡がってきています。特に、京都大学の山中教授がiPS細胞でノーベル賞を受賞して以来、その認知度は飛躍的に拡大したと考えます。今後、さらなる研究が進むことにより、様々な可能性が現実味を帯びてくるでしょう。しかし、現段階ではまだまだ不明な点も多く、「夢の治療」ではありません。少なくとも、動物領域における再生治療は「第一の治療選択肢ではない」ことを強調しておきます。このため、KyotoAR獣医神経病センター(以下、当院)において治療当初は重度な胸腰部椎間板ヘルニア(グレードV)の動物に限定し、神経再生治療を推進していきます。

当院では、骨髄由来の単核球細胞(Bone-marrow derived mononuclear cells:BM-MNCs)を用いた神経再生治療を行ないます。
BM-MNCsには、サイトカインの放出や液性因子の産生などによって組織修復や免疫抑制作用、組織内の分化能や修復機能を高めるなどの多岐にわたる能力が判明してきています。
また、自家移植であること、採取後すぐに投与できることなどから、当院ではBM-MNCsを選択しています。

BM-MNCsの治療効果
  1. 免疫調整作用
  2. グリア瘢痕に対する作用
  3. 細胞保護作用
  4. 神経系前駆細胞への作用
  5. 血管新生作用
  6. 液性因子の分泌作用

前腕骨からの骨髄液採取→細胞の分離→採取細胞の確認

骨髄液の採取
血液の遷移
採取細胞の確認

BM-MNCの投与による副作用は少ないとされていますが、最悪の場合には死に至る可能性も否定できません。また、全ての動物でBM-MNCの投与が有効となるわけではありません。このため、神経再生治療を実施する際には、治療開始前に必ずしっかりとしたご説明をさせていただいた上で、ご家族に治療に対するご判断を行っていただきます。

急性期の治療

急性期の治療

重度な椎間板ヘルニアの治療には、外科的治療が有効です。しかし、外科的治療単独よりも神経再生治療の併用が、症状の改善割合を高めると報告されています。このため、当院において急性期の治療を行う場合には、外科的治療当日に必要に応じてご家族へご説明をさせていただいた上で、神経再生治療に対するご判断をいただきます。

慢性期の治療

慢性期の治療

他院にてMRI検査や外科的治療を実施したにもかかわらず、重度な神経症状を数週間以上示しているような重篤な脊髄損傷の動物においても、神経再生治療は有効とされています。しかし、人間も含めて慢性期の治療効果に関しては不明な点も多いのが現状です。慢性期での神経再生治療を当院にてご希望される場合には、症状の原因や損傷した脊髄の評価を目的として必ずMRI検査による病巣の評価を行います。その上で、治療を実施するかどうかをご家族にご判断いただきます。
慢性期での神経再生治療をご依頼いただく際には、事前に動物の病歴や状況をお教えいただき、治療当日にご家族にご来院いただきます。当日は全身麻酔下でのMRI検査及びBM-MNCの投与を実施いたします。このため、絶食・絶水にてご来院ください。治療後の問題がなければ、当日の退院・帰宅となります。その後1週間毎にご来院いただき、動物の状態を評価いたします。再生治療の判断の目安は、治療後約1ヶ月です。

神経再生治療にかかる費用の目安

再生治療の費用は50000円になります。別途、麻酔費用などが必要となります。MRI検査による損傷脊髄の評価を行う場合には、麻酔費用やMRI検査費用などを含めて別途約80000円かかります。治療後1ヶ月での評価を行う際には1週間毎のご来院を推奨いたしますので、再診費用に約3000円(合計約12000円)かかります。

予約方法

まずは当院にお電話にてご相談ください(担当医不在の場合には折り返してご連絡を入れさせていただきます)。お電話にて概要をお伺いした後に、治療実施日を決定いたします。その後、必要事項を予約フォームにご記入いただき、FAXあるいはインターネット経由にてお申し込みください。

予約方法

担当医

中本裕也
獣医師、博士(獣医学)

KyotoAR獣医神経病センター長

研究歴

2008~2011 山口大学大学院連合獣医学研究科(博士号取得)
2014~    京都大学ウイルス・再生医科学研究所(研修員)

担当者

セミナー・講演

セミナー・講演のご依頼をお受けすることができます。講演内容は獣医神経疾患に関連する内容やMRI検査に関連した内容など、その都度ご要望にお応えいたします。講演費用や講演内容などのご相談は、KyotoAR獣医神経病センターまでご遠慮なくご連絡ください。